東京でのマンション売買、アメリカでの家探し中の筆者が驚愕したアメリカ不動産事情について書いていきます。
知れば知るほどもっと知りたくなるアメリカの不動産。
ではいってみましょう。
賃貸VS購入
アメリカで不動産を持つことは日本とは大きく異なることをご存知でしょうか。
日本では、「家を買うべきか賃貸を続けるべきか」、という議論がよくされています。
それは、
少子高齢化による人口減少で不動産需要がなくなるため家の価値が上がらないことが原因です。
家は修繕費や固定資産税等のコストがかかります。
そのため、賃貸を続けた方がトータルではコストをセーブできる場合があるのです。
家の価値が下がっていく場合、コストを考慮すると結局は賃貸し続けた場合とトータルコストが変わりない場合があるのです。
では、アメリカではどうでしょうか。
まず、アメリカでは人口が増え続けています。
これは不動産を考えた時に非常に大事なポイントです。
なぜなら、人口が増えるほど家が必要になる人も増えるからです。
ちなみにアメリカの出生率は下がっているのですが、それではなぜ人口が増えているのでしょう?
それは、アメリカが移民を受け入れているからです。
人口が増加しているアメリカでは家の需要が常に高く、インフレとともに不動産価値も右肩上がりなのです。
また、賃貸の場合は毎年の更新時に家賃が上がっていくことが普通です。
そのため、家を持つことが理にかなっているのです。
新築VS中古
日本では、新築物件の価値が一番高いことはよく知られています。
ですが、買った瞬間に中古になり価値は下がる一方です。
アメリカでは、住宅の約8割は中古物件と言われています。
もちろん新築の方がトラブルがなく快適に住めますがただ単に新築の供給が少ないのです。
そのため、中古物件をリフォームして販売するのが一般的です。中古物件だからという理由で価値が下がることはないのです。
売買手数料
日本では、家を購入するときも売却するときもエージェントに手数料を払いますが、
アメリカでは購入する時の手数料はなく、売却する時のみ手数料が発生します。
例えば、一般的に日本の不動産売買手数料は3%ですが、アメリカの不動産売却手数料は5〜6%です。(州により多少異なるようです)
手数料は、購入側のエージェントと売却側のエージェントで分けます。
バスルームの違い
日本では、トイレとお風呂は別ですがアメリカではバスルームという呼び方で浴室とトイレは同じスペースにあります。また、2部屋以上ある場合はバスルームも2つ以上あることが標準です。
理由はいくつかあるようです。利便性、プライバシーの向上、またルームシェア文化があるので他人との暮らしやすさも考えられているようです。

80平米くらいのコンドでも上の画像のようなバスルームが2つあったりします。
部屋の呼び方
日本では、2LDKのように
部屋数、リビング、ダイニング、キッチン
という並びで表現します。
アメリカでは、2LDKと言っても意味が通じないので要注意です。
2LDKは2bds,2baのように表記してあり
bdはベッドルーム数、baはユニットバスの数になります。
リビングやキッチンは表記はなく、ウェブサイトの写真や実際に見て判断します。
また、日本で必ずある間取り図はアメリカにはあまりありません。
大型家電が備え付け
日本だと、賃貸でも売買でも部屋は空っぽで引き渡しになりますが、アメリカでは大型家電が備え付けのケースがほとんどです。
・電子レンジ
・オーブン
・食洗機
・冷蔵/冷凍庫
この辺りは標準で付いてるので引っ越しはとても楽です。
日本ではオーブンはあまり馴染みがなく電子レンジにオーブン機能がついた家電が一般的ですが、アメリカは大きいオーブンがキッチンに埋め込まれておりオーブンを使った料理はとても簡単にできます。備え付け家電は筆者はとてもありがたみを感じています。

不動産情報の透明性
筆者は、アメリカに移住する前に東京のマンションを売りました。
日本で不動産売買をしてからアメリカで物件探しを始めた時にものすごく驚いたのが
アメリカでは、アメリカ全域をカバーした信頼性のある不動産サイトがある
ということ。
販売物件は全てサイト上に掲載しなければいけないというルールがあるため、エージェントは販売物件情報を得たらすぐにサイトにアップします。
エージェントも顧客も同じ情報が見えているのでとても透明性が高いのです。
日本では、専属専任媒介、専任媒介、一般媒介と3種類の媒介契約がありそれぞれ物件の扱い方に制約が異なり複雑です。
顧客側からすると、スーモやホームズなどである程度の情報は得られるものの、問い合わせをしたら実在する物件ではなく「かわりに他の物件を紹介します」、と言われるような悪質なケースもあります。(おとり物件)
また、不動産ポータルサイトでは同じ物件を違う不動産会社が掲載できるので、顧客側からすると同じ物件がいくつかサイト上で見えるという不親切な仕様になっています。
アメリカの不動産サイトは重複して掲載されることはありません。
また、アメリカではオープンハウスが頻繁に行われておりエージェントの付き添いなしで誰でも気軽に行くことができます。エージェントが決まっておらず、まずは情報収集として行くことも多いです。アンケートの記入を促されることもありません。あるとしたら、メールアドレスと名前残して行きませんか?というくらいで、それもNoと言える雰囲気です。
日本でもオープンハウスはありますが、数は少ないですよね。あるとしてもアンケートの記入は強めにお願いされます。筆者はこれが鬱陶しくて気軽には行きませんでした。
では、どうやって内覧できるのかというと不動産エージェントに依頼して鍵を開けてもらうということになります。その不動産エージェントがさらに希望にあった物件を紹介していくという流れです。
日本では、不動産業者が売り手側、買い手側から手数料をもらう「両手取引」が違法ではないため不動産業者側が情報操作をするケースがあります。
アメリカでは両手取引は違法であり、また不動産ポータルサイトはエージェントも顧客も全く同じものが見えているという透明性があるため安心して取引を進めることができます。
この点、筆者はとても気に入っています。
一生の買い物VSライフスタイルによって買い替え
日本では、家は一生の買い物だとよく言われるように、一度買ったら長く住むことが多いですよね。
一方、アメリカではライフイベントによって住まいを変えることは一般的です。
アメリカでは家を売ることで利益が出ることが多く、より良い家に買い替えるための資金にすることができます。
子供ができる前は通勤に便利な場所、子供ができたら学区が良くて広い物件、リタイア後はコストがセーブできる田舎に引っ越し、というように住まいを変えていくのです。
アメリカの不動産の資産価値
驚くことに、アメリカの不動産価値というのは歴史的にみてずっと右肩上がりなのはご存知でしょうか?
日本では考えられないですよね。
例として、過去10年を見てみましょう。10年前と比べて価値が約1.5倍に上がっています。

例えば、2010年に5000万で購入した家が2020年に7,500万で売れるということです。
理論上はもっと長く保有すればもっと高く売ることができます。
このことから、アメリカの不動産は資産価値が高く投資要素が強いのです。
データ全公開!これがアメリカの不動産サイトだ
有名な3つのサイトをご紹介します。
どれも不動産情報は同じものが掲載されているので、自分にとって使いやすいサイトを選びましょう。
・Trulia(Zillowが買収)
私は、Zillowを使っています。閲覧した物件に近いものをリコメンドしてくれる機能があるので使いやすいです。
ちなみに、ジローと発音します。0(ゼロ)に近い発音です。Lが入っていて苦手な発音です・・・。
では、例としてZillowを使ってどんな情報が見れるかみていきたいと思います。
サンタモニカで700K-1M(Kは千万,Mは億の単位)、2bedrooms,2bathrooms以上、戸建かコンドで絞って検索してみました。

赤丸で表示されているのが検索結果です。
サンタモニカは不動産価格が高騰しているので、この値段だと少ししか出てこないですね。価格を上げると赤丸がグッと増えます。あーなんて高いのでしょう。
参考までに最初に出てきた物件を見てみましょう。
物件トップ

2ベッドルーム,2バスルーム,1,226 sqft $865,000 の物件です。(1,226 sqftは約114平米です。)
物件注目度をここで確認!掲載日数、閲覧数、保存数
Overviewで、Zillowに掲載された日数、閲覧数、保存された数が見れます。

Zillow掲載後、1日で707VIEWなのでかなり見られていますね。
保存数も58あるので注目されているようです。
ここを見ると関心度がわかるので、値段交渉の余地があるかや、すぐ売れてしまいそうだから早く動いた方がいい、などの予測を立てることができます。
重要!物件詳細情報
続けて見ていきましょう。

ここには重要な情報が書かれています。
物件のタイプ(コンドミニアム、戸建等)、確保されている駐車台数、築年数、HOA(日本でいう管理費)、暖房設備(Radiantはパイプに温水を伝わせ温める方法)、1sqftあたりの価格(日本は坪単価ですが、アメリカはスクエアフィートの単価を見ます)、冷房設備が記載してあります。
アメリカは広いので、気候によって冷暖房設備を重視する場所とそれほどでもない場所があります。カリフォルニアは温暖な気候ですが、日本のように湿気のある暑さではないのでこのように冷房なしの物件も多いです。
駐車スペースですが、アメリカではストリートパーキングと言って路駐できる場所がたくさんあります。
都市部だとストリートパーキングがいっぱいという場所もありますが、そうでなければゲストはストリートパーキングを使ってもらうということもあります。
一部の都市を除き、一人一台車をもつ車社会アメリカですが駐車スペースが一台しかない物件もあります。その場合、複数台あればストリートパーキングを利用するということになります。人気エリアは停めるスペースが見つかりにくいことがあるので周辺の様子は要確認ですね。
こんなにオープンでいいの?!物件の価格ヒストリー
では、続いて見ていきましょう。
筆者が目を丸くしたのは、不動産サイトで物件の売買価格ヒストリーが見れてしまうこと。
いつ、いくらで売られた、買われたという情報がOPENになっているんです。
では、この物件を見ていきましょう。

全て掲載されていないこともありますが、だいたいの履歴を見ることができます。
この物件は築1968年でした。1996年に売りに出たものを$145,000で購入した人がいて、現在$865,000で売りに出されています。
なんと5倍近い値段!!!!!!!
こんなことがアメリカでは頻繁にあるのです。日本だと考えられないですよね。
本当に、アメリカ不動産投資はおすすめと言えます。日本に帰国した方で、アメリカで購入した家を売って老後資金にしたという方もいらっしゃいますが、長く自宅に住むだけでそれが可能なのです。
日本人の私からすると、売ることで利益が出るってすごいことですがアメリカでは不動産価値が下がるのはお金を失うということだと考えられています。
また、価値の年表もあります。対象物件と街全体の価値が掲載されているので物件の位置付けがわかります。

エージェントの役割
アメリカでは信頼性の高い不動産ポータルサイトがあるので、顧客自身で物件探しをすることはできます。
では不動産エージェントの役割はなんでしょうか。
もちろん、売買取引はエージェントを通してすることになりますがその他期待できることをまとめてみました。
・不動産ポータルサイトに掲載される直前で物件紹介してもらうことができる。
→売り手の物件情報をより早く入手していた場合、買い手側に早く情報を流せる。1、2日早いと言われているようです。
・物件周辺の情報を教えてもらえる
→知らない土地に引っ越す場合、地域の情報を知ることは難しいです。不動産エージェントは地域密接型の商売なので地域の特色を聞くことができます。筆者が出会った不動産エージェントは、「自分もこの土地で育ってきた」「子供を周辺の学区の学校に行かせている」など地域に詳しい方が多かったのが印象的でした。
・ディスクロージャーを早めに見せてもらえる
→ディズクロージャーとは取引のクロージングで必ず開示される物件の詳細情報です。増築、欠陥、修理、交換など対象物件に関わる全てのことを知ることができます。オープンハウスに行き購入を検討したい場合など、依頼すれば早めに見せてもらうことができます。
重要!学区の良いエリアを選ぼう
アメリカは、公立学校は州や学区が教育方針を決めているためエリアによって教育内容が異なります。
日本だと、どこに言っても画一的な教育が受けられるので、全く違うシステムですよね。
では、学区のいいエリアかどうかはどこで見れるかということなのですが、それも不動産サイトに掲載されています。
続いて、先ほどの物件を続けて見ていきます。

このように、学区の小・中・高の情報が出ています。
こちらは、Grateschool.orgというウェブサイトと連動している情報で、このサイトにはアメリカの学校情報がランキング形式で掲載されています。
詳しくはこちらの記事で↓
10が最高ランクとなっており目安としては8以上だととても良い学校と言えます。
この物件は、小・中・高全てで8以上なので学区の良いエリアですね。
このサイトは子供がいる全ての親がチェックするサイトでとても有名なものです。
他にはこちらも有名です。

日本では、中学、高校受験をすることが一般的ですが、その学区に住んでいれば受験なしで自動的に進学します。
周辺に良い公立学校がない、または親の方針で私立学校に行くという選択肢もあります。私立学校はとても高額で(学校より異なりますが)年間300万くらいかかると言われています。そのため、高校まで公立学校に通うというのは一般的で、学区は非常に重視されるポイントになります。
いい学区は不動産価値が高いため、子供のいない家庭でも好まれています。自分の不動産価値が高まれば高値で売れるためです。
おわりに
全く日本と事情の異なるアメリカの不動産事情、いかがでしたでしょうか。
筆者はアメリカでの自宅購入をするところなので、また追加情報があれば更新していきます。
自宅とは別に不動産投資にも興味を持っています!
不動産は日本とは比較にならないくらい伸び代のある分野です。